プログラムを分割する（関数）

ざざ虫ロゴ

Introduction of The C Programming Language

▲Ｃ言語目次へ戻る

　関数の定義と呼び出し方

　Ｃ言語では、「一連の処理の集まり」を関数といいます。たとえば、すでに使ってきた printf()、 scanf() なども関数であり、このように、Ｃ言語があらかじめ用意している関数を標準ライブラリ関数といいます。これとは別に、プログラマが独自の関数を作ることもできます。すなわち、プログラムの中のある一塊の処理を関数という単位に独立させることができるのです。
　いままで、main 関数に実行したい処理のすべてを記述してきましたが、長大で複雑なプログラムになってくると、一目で見通せなくなり、ソフトのメンテナンスが困難になってきます。そこで、まとまった処理を行っている部分を、「ある目的の動作をするための命令文の集まり」、関数として独立させると、 main 関数はこれら関数を実行する（関数の呼び出しという）記述をすればよく、結果として、 main 関数の行っている内容の概略が分かる様になります。
　以下のプログラムは main 関数とそれから呼びだし、実行される関数の関係を表示するプログラムです。

/* * main 関数 */ main() { 　　void disp_msg( void ); /* 関数のプロトタイプ宣言 */ 　　printf("main 関数スタート¥n"); 　　disp_msg(); /* 関数の呼びだし */ 　　printf("main 関数に戻ってきた¥n"); } /* * disp_msg 関数 */ void disp_msg( void ) { 　　printf("disp_msg 関数実行¥n"); }

プログラムと言葉の説明

main() プログラムの入り口
main 関数と呼ぶ
void disp_msg( void ); 関数のプロトタイプ宣言
最初の void の意味は、関数の実行後戻り値がないことをしめす
disp_msg は、関数の名前
関数名の後の ( ) 内の void の意味は、関数に渡す引数がないことをしめす
disp_msg(); 関数の呼びだし、実行
戻り値も引数もないので disp_msg(); と記述する
void disp_msg( void ) 関数プログラムの入り口
戻り値のない関数なので、関数の終わりに return 文はない
プロトタイプ宣言 　関数は、利用する前に、戻り値のデータ型、関数が使う引数の数とデータ型を、プロトタイプ宣言として定義し、コンパイラに伝える必要がある。
引数　関数には、その関数の中で処理に使う値を渡すことができ、これを引数という。関数に値を渡す必要がない場合は、関数の ( ) の中に void を記述する。
戻り値 　関数は、処理した結果を１つだけ呼び出し元の関数へ返すことができる。戻り値のない関数なので、戻り値のデータ型は void 型となり、関数の終わりに return 文はない

　プログラムを分割して、関数を作成し、実行するためには、以下に示す手順が必要になります。また、関数には表4_1 の様に、戻り値、引数の型によって作り方にいくつかのパターンがあります。

関数の定義と呼び出し方

●　関数の定義 【書式】　　戻り値のデータ型　関数名( データ型　引数1, データ型　引数2,… )
　　　　　　{
　　　　　　　　　：
　　　　　　　　return 式;
　　　　　　}

関数定義における引数は、どのような値が渡されるか分からないので、仮に定義します。そのため、これを仮引数といいます。
●　関数のプロトタイプ宣言 【書式】　　戻り値のデータ型　関数名( データ型　引数1, データ型　引数2,… );

プロトタイプ宣言は、変数と同様にブロックの先頭で行う
●　関数の呼びだし 【書式1】　変数 = 関数名( 引数1, 引数2,… );
【書式2】　関数名( 引数1, 引数2,… );

戻り値がある場合は書式1、ない場合は書式2です
関数を呼びだすときは、実際の値を渡します。そのため、これを実引数といいます。
注意事項
・関数の定義、プロトタイプ宣言、呼びだしの全てにおいて、引数のデータ型とその並び順は、同じでなければなりません。
・関数定義における仮引数と、関数呼びだしにおける実引数の名前は、同じである必要はありません。むしろ、区別する意味で別の名前を付けるべきでしょう。

表4_1 関数のパターン

戻り値のデータ型引数のデータ型関数
int int int f( int )
float int f( float )
char int f( char )
int, float int f( int, float )
引数なし int f( void )
float int float f( int )
float float f( float )
char float f( char )
int, float float f( int, float )
引数なし float f( void )
戻り値なし int void f( int )
float void f( float )
char void f( char )
int, float void f( int, float )
引数なし void f( void )

関数を作るメリット

●　処理の流れがつかみやすくなる
まとまった処理を関数で作成し、main 関数ではそれを呼びだすだけにしておくと、処理の流れがつかみやすくなる。このとき、呼びだす関数の内容をコメントしておくと、さらに分かりやすい。また、関数の名前も処理内容を連想できるものに工夫するとよい。
●　プログラムが扱いやすくなる
関数に分割することによって、１つの関数を短くすることができる。これによって、読みやすく、不具合を発見しやすくなる。プログラム、関数の大きさは１画面で収まるくらいにすると非常に扱いやすいものになります。
●　同じコードを何回も書く必要がなくなる
作成した関数は、いつでも、どこからでも呼びだし、実行することができます。そのため、何度でも実行する処理は、関数にしておくと同じコードを何度も記述する必要がなくなり、プログラム作成の効率化が図れます。
●　プログラムを修正しやすくなる
関数に作成しておくと、不具合があった場合、その関数のみの修正ですみます。もしも、同じコードをプログラムのあちこちに記述していた場合は、それらすべてを修正するため、プログラム全体を見直す必要があります。

　戻り値や引数をもたない関数

　まず、戻り値や引数をもたない関数を作ってみましょう。ﾘｽﾄ5.2の様にプログラムの一部を書き換えて、保存、コンパイルして実行してみてください。
　戻り値や引数をもたない関数を作る場合は、main() を exchange() に書き換え、新たに exchange 関数を呼びだす main 関数を記述すればよいことが分かります。

ﾘｽﾄ5.1 大小比較による値の交換・その１　main()関数のみ -------------------------------------- /* * 大小比較による値の交換 * main()関数のみ */ #include <stdio.h> main() { 　　int x, y, z; /* 変数の宣言 */ 　　printf("please input data: x= "); /* 値 x の入力 */ 　　scanf("%d", &x); 　　printf("please input data: y= "); /* 値 y の入力 */ 　　scanf("%d", &y); 　　if (x > y) { /* 比較による交換 */ 　　　　z = x; 　　　　x = y; 　　　　y = z; 　　} 　　printf("x=%d, y=%d¥n", x, y); /* 交換後の x, y の出力 */ } ﾘｽﾄ5.2 大小比較による値の交換・その２　exchange関数をつくる -------------------------------- /* * 大小比較による値の交換 * 戻り値や引数のない exchange 関数をつくる */ #include <stdio.h> main() { /* 使用する関数のプロトタイプ宣言 */ 　　void exchange( void ); /* 戻り値なし、引数なしの関数宣言 */ 　　exchange(); /* 関数の実行 */ } void exchange( void ) /* 大小比較による値を交換し、出力する関数 */ { 　　int x, y, z; /* 変数の宣言 */ 　　printf("please input data: x= "); /* 値 x の入力 */ 　　scanf("%d", &x); 　　printf("please input data: y= "); /* 値 y の入力 */ 　　scanf("%d", &y); 　　if (x > y) { /* 比較による交換 */ 　　　　z = x; 　　　　x = y; 　　　　y = z; 　　} 　　printf("x=%d, y=%d¥n", x, y); /* 交換後の x, y の出力 */ }

　関数に値を渡す

　ここでは、戻り値なし、引数ありの関数を作ってみましょう。すなわち、関数に値を渡してみます。それでは、ﾘｽﾄ5.3の様にプログラムの一部を書き換えて、保存、コンパイルして実行してみてください。
　main 関数では x, y の値を入力し、exchange 関数を呼びだしています。 exchange 関数では、大小比較による値の交換と結果の出力をしています。
　大小比較による値の交換処理では、戻したい値は２つあります。しかし、戻り値は１つに限られるため、exchange 関数の中で結果を出力しています。
　ところで配列データはどのように渡せばよいでしょう。おまけ　例文1 は、文字配列データの受け渡しを行うプログラムです。

ﾘｽﾄ5.3 大小比較による値の交換・その３　入力値を引数とする ---------------------------------- /* * 大小比較による値の交換 * 関数に数値データ渡しする exchange 関数をつくる */ #include <stdio.h> main() { 　　int x, y; /* 変数の宣言 */ 　　void exchange( int, int ); /* 使用する関数のプロトタイプ宣言 */ 　　printf("please input data: x= "); /* 値 x の入力 */ 　　scanf("%d", &x); 　　printf("please input data: y= "); /* 値 y の入力 */ 　　scanf("%d", &y); 　　exchange( x, y ); /* 関数の実行 */ } void exchange( int x, int y ) /* 大小比較による値を交換し、出力する関数 */ { 　　int z; /* 変数の宣言 */ 　　if (x > y) { /* 比較による交換 */ 　　　　z = x; 　　　　x = y; 　　　　y = z; 　　} 　　printf("x=%d, y=%d n", x, y); /* 交換後の x, y の出力 */ } おまけ　例文1 関数に文字データを渡す ----------------------------------------------------- /* * 挨拶を返すプログラム * 関数に文字データを渡す関数をつくる */ #include <stdio.h> main() { 　　char name[128]; /* 変数の宣言 */ 　　char show_msg( char [] ); /* 使用する関数のプロトタイプ宣言 */ 　　printf("名前は？ "); /* 名前の入力 */ 　　scanf("%s", name); 　　show_msg( name ); /* 関数の実行 */ } void show_msg( char name[] ) /* 挨拶を返す関数 */ { 　　printf("%sさん、今日は¥n", name ); }

　外部変数を利用する

　大小比較による値の交換処理では、戻したい値は２つあります。しかし、戻り値は１つに限られるため、このままでは、exchange 関数で交換した後の結果を main 関数で利用することができません。この問題を解決する方法として、main 関数、exchange 関数のどちらからでも利用できる様に、外部変数を宣言します。
　それでは、ﾘｽﾄ5.3 のプログラムを、以下のﾘｽﾄ5.4 の様に書き換え、保存、コンパイルして実行してみてください。

ﾘｽﾄ5.4 大小比較による値の交換・その4　データの受け渡しに外部変数を用いる ------------------- /* * 大小比較による値の交換 * 外部変数を用いた exchange 関数をつくる */ #include <stdio.h> int x, y; /* x, y を外部変数として宣言 */ main() { 　　void exchange( void ); /* 使用する関数のプロトタイプ宣言 */ 　　printf("please input data: x= "); /* 値 x の入力 */ 　　scanf("%d", &x); 　　printf("please input data: y= "); /* 値 y の入力 */ 　　scanf("%d", &y); 　　exchange( void ); /* 関数の実行 */ 　　printf("x=%d, y=%d n", x, y); /* 交換後の x, y の出力 */ } void exchange( void ) /* 大小比較による値を交換する関数 */ { 　　int z; /* 変数の宣言 */ 　　if (x > y) { /* 比較による交換 */ 　　　　z = x; 　　　　x = y; 　　　　y = z; 　　} }

　戻り値のある関数

　ここでは、戻り値あり、引数ありの関数を作ってみましょう。それでは、以下のﾘｽﾄ5.5の通りにプログラムを入力、保存、コンパイルして実行してみてください。２つの変数に値が入っています。その値を合計するために add 関数に値を渡し、合計した結果を return 文で返しています。時間に余裕があれば変数 a, b に値を入力するプログラムに変更して見ましょう。

ﾘｽﾄ5.5 値でデータを渡し、戻り値で返す ---------------------------------------------------- /* * ２つの値を加算する * 加算のための add 関数をつくる */ main() { 　　int a = 15, b = 25; /* 変数の宣言と初期化 */ 　　int sio1; /* 変数の宣言 */ 　　int add( int , int ); /* 使用する関数のプロトタイプ宣言 */ 　　sio1 = add(a, b); /* 関数の実行 */ 　　printf(ﾒadd (%d, %d) -> %d¥nﾓ, a, b, sio1); /* 加算結果の出力 */ } int add( int x, int y ) /* 加算する */ { 　　return (x + y); /* 加算結果を戻す */ }

　関数に参照渡しする

　関数にデータを渡す方法として、値を渡してきましたが、参照渡しという方法もあります。それでは、ﾘｽﾄ5.5 値でデータを渡し、戻り値で返すプログラムをﾘｽﾄ5.6の様に書き換えて、保存、コンパイルして実行してみてください。ﾘｽﾄ5.5と同じ処理を行います。

ﾘｽﾄ5.6 ポインタを使ってデータを渡す ------------------------------------------------------ /* * ２つの値を加算する * 参照渡しをする add 関数をつくる */ main() { 　　int a = 15, b = 25; /* 変数の宣言と初期化 */ 　　int sio1; /* 変数の宣言 */ 　　int add( int *, int *, int *); /* 使用する関数のプロトタイプ宣言 */ /* 関数の実行 */ 　　add(&a, &b, &sio1); /* add 関数に変数 a、b、sio1 のアドレスが渡される */ /* a :データ、&a :アドレス */ 　　 /* b :データ、&b :アドレス */ 　　 /* sio1:データ、&soi1:アドレス */ 　　printf(ﾒadd (%d, %d) -> %d¥nﾓ, a, b, sio1); /* 加算結果の出力 */ } /* 加算する */ int add( int *x, int *y, int *z ) /* add 関数の変数 x、y、z にアドレスが渡される */ { /* 変数に * を付けるとそのアドレスの変数の値が分かる */ 　　/* x:アドレス、*x:データ */ 　　/* y:アドレス、*y:データ */ 　　/* z:アドレス、*z:データ */ 　　*z = *x + *y; }

　値渡しと参照渡しの違いについて以下にまとめてみました。また、その違いが分かるプログラムを列記しました。
　値渡しでは、呼ばれる側で引数の値が変わっても、呼びだし側の変数の値は変わりませんが、参照渡しでは、呼ばれる側で引数の値が変わると、呼びだし側の変数の値は変わってしまいます。

値渡しと参照渡しの違い

値渡しと参照渡しの一番の違いは…
値渡し参照渡し
●　呼びだし側の変数と、呼ばれる側の引数は無関係

#include
main()
{
　　int a = 100; 　　　　　　/* 変数の宣言と初期化 */
　　void show_var( int ); 　　/* プロトタイプ宣言 */
　　printf("a = %d¥n", a); 　/* 変数 a を出力 */
　　show_var( a );　　　　　/* show_var 関数を実行 */
　　printf("a = %d¥n", a); 　/* 変数 a を出力 */
}

void show_var( int x )
{
　　printf("x = %d¥n", x);　/* 変数 x を出力 */
　　x = 500;　　　　　　　　/* 変数 x に 500 を代入 */
　　printf("x = %d¥n", x); 　/* 変数 x を出力 */
} ●　呼びだし側の変数と、呼ばれる側の引数は同じ番地の変数
#include
main()
{
　　int a = 100; 　　　　　　　/* 変数の宣言と初期化 */
　　void show_var( int * ); 　　/* プロトタイプ宣言 */
　　printf("a = %d¥n", a); 　　/* 変数 a を出力 */
　　show_var( &a );　　　　　/* show_var 関数を実行 */
　　printf("a = %d¥n", a); 　　/* 変数 a を出力 */
}

void show_var( int *x )
{
　　printf("x = %d¥n", *x);　/* 変数 x を出力 */
　　*x = 500;　　　　　　　　/* 変数 x に 500 を代入 */
　　printf("x = %d¥n", *x); 　/* 変数 x を出力 */
}

　再帰呼び出しする

　関数は、自分自身を呼びだすことができます。その例としてよく出てくるのが階乗の計算をするプログラムがあります。
　　整数 n の階乗　n! = n × (n-1) × (n-2) ×… × 2 × 1
　それでは、ﾘｽﾄ5.7の通りにプログラムを入力、保存、コンパイルして実行してみてください。求めたい複数の階乗の値を、カンマ等で区切って入力すると、計算結果を表示します。ただし、オーバーフローエラー等を引き起こさないように、0 以下、及び 10 以上の値が入力されると -1 が表示されます。

ﾘｽﾄ5.7 再起処理階乗の計算 --------------------------------------------------------------- #include <stdio.h> main() { 　　int InputNo; 　　　　　　　　　/* 変数の宣言 */ 　　int Factorial( int ); 　　 /* プロトタイプ宣言 */ 　　while (scanf(ﾒ%dﾓ, &InputNo) != EOF) /* 階乗計算する値を全て読み込む */ 　　　　printf(ﾒ%d¥nﾓ, Factorial( InputNo ));　 /* Factorial 関数の実行と、結果の出力 */ } int Factotial( int n ) /* 階乗計算する関数 */ { 　　if ((n < 0) || (n >= 10)) /* エラー解除のための排除条件 */ 　　　　return ﾐ1; 　　else if (n <= 1) /* 再帰呼び出し終了条件 */ 　　　　return 1; 　　else 　　　　return n * Factorial(n ﾐ 1); /* 再帰呼び出し */ }

　再帰呼び出しの利点は、複雑な処理をスマートに記述できることです。しかし、再帰呼び出し関数を作るにあたり、重要な注意事項があります。それは、再帰呼び出しでは必ず終了条件を指定することで、もし、これがないと、再帰呼び出しを無限に繰り返すことになります。

　ライブラリ関数を使う

　Ｃ言語では、if、for、while などの制御文による処理の流れを変える文以外は、特定の処理を行うためのものは、標準関数として用意されています。すでに、今まで使ってきた printf、scanf 以外にも多くの関数があるので、ここで使ってみます。なお、一部の標準関数を表5_1にまとめました。
　それでは、ﾘｽﾄ5.8の通りにプログラムを入力、保存、コンパイルして実行してみてください。サイン値一覧が出力されます。

ﾘｽﾄ5.8 数学関数を使う -------------------------------------------------------------- /* * 10 度から 80 度までのサイン値一覧表を出力する */ #include <stdio.h> #include <math.h> /* サイン関数用のプロトタイプが記述されているヘッダファイル */ #define PAI 3.14149 main() { 　　int i;　　　　　　　　 / * 変数の宣言 */ 　　float d; 　　for ( i = 10; i <= 80; i += 10 ) { 　　　　d = sin( i * PAI / 180.0 );　　　 /* 角度をラジアンに変換して、サイン値を計算 */ 　　　　printf("%d %f¥n", i, d ); /* サイン値の出力 */ 　　} }

表5_1 標準関数の一覧

入出力関数（ヘッダ：stdio.h ）
関数の機能関数の形式説明
書式付き出力 printf(制御文字列, 引数); 画面などに表示
（例）　printf("%d¥n", 10);
書式付き入力 scanf(制御文字列, 引数); キーボードなどから入力
（例）　int n;
　　　　 scanf("%d", &n);
１文字出力 putchar(文字); 画面などに１文字出力 （例）　int c;
　　　　 putchar(c);
１文字入力 getchar(); キーボードなどから１文字入力
（例）　int c;
　　　　 c = getchar();
１行出力 puts(文字列); 画面などに文字列を出力
（例）　char a[80];
　　　　 puts(a);
１行入力 gets(文字列); キーボードなどから文字列を入力
（例）　char a[80];
　　　　 gets(a);
文字列操作（ヘッダ：string.h ）
関数の機能関数の形式説明
文字列の複写 strcpy(文字列1, 文字列2); 文字列2 を文字列1 に複写
（例）　char a[20], b[20];
　　　　 strcpy(a, b);
文字列の連結 strcat(文字列1, 文字列2); 文字列2 を文字列1 の後ろに連結
（例）　char a[40], b[20];
　　　　 strcat(a, b);
文字列の比較 strcmp(文字列1, 文字列2); 文字列を比較
（例）　char a[20], b[20];
　　　　 int n;
　　　　 n = strcmp(a, b);
文字列1>文字列2のときは正の値を返す
文字列1=文字列2のときは 0 の値を返す
文字列1<文字列2のときは負の値を返す
文字列の長さを求める strlen(文字列); 文字列の長さを求める
（例）　char a[20];
　　　　 int n;
　　　　 n = strlen(a);
文字操作（ヘッダ：ctype.h）
関数の機能関数の形式説明
英文字検査 isalpha(文字); 文字が英文字であるか検査
（例）　int a, n;
　　　　 n = isalpha(a);
文字が英文字のときは 0 以外の値を返す
文字が英文字以外のときは 0 の値を返す
関連関数として isupper, islower, isdigit などがある
英大文字変換 isalpha(文字); 英小文字を英大文字に変換する
（例）　int a, b;
　　　　 b = toupper(a);
関連関数として tolower がある
数学関数（ヘッダ：math.h）
関数の機能関数の形式説明
絶対値を求める abs(数値); 数値の絶対値を求める
（例）　int a, n;
　　　　 n = abs(a);
サイン値を求める sin(数値); 数値（ラジアン）のサイン値を求める
（例）　double a, n;
　　　　 n = sin(a);
関連関数として cos, tan その他三角関数がある
指数関数値を求める exp(数値); 数値の e に対する指数関数値を求める
（例）　double a, n;
　　　　 n = exp(a);
関連関数として log がある
平方根を求める sqrt(数値); 数値の平方根を求める
（例）　double a, n;
　　　　 n = sqrt(a);
関連関数として sqr（数値の平方を求める）がある
乗じた値を求める power(数値1, 数値2); 数値1 を（数値2 ）乗した値を求める
（例）　double a, b, n;
　　　　 n = power(a, b);
または　 n = pow(a, b);<
その他の関数（ヘッダ：stdlib.h）
関数の機能関数の形式説明
文字列を int 型整数に変換 atoi(文字列); 数値文字列を int 型整数に変換
（例）　int n;
　　　　 n = atoi("12345");
乱数を発生させる rand(); 乱数を発生させる
（例）　int n;
　　　　 n = rand();
乱数を発生させる rand(数値); 種を使って乱数を発生させる
（例）　int a, n;
　　　　 n = rand(a);
数値が違えば異なる乱数系列を発生する
OS コマンドの実行 system(文字列); OS のコマンドを実行
（例）　system("ls");

　課題

課題１ 　金額（１ドル未満）を与えられて、それに必要な硬貨の種類と個数を計算するプログラムを、関数に分割して書きなさい（硬貨の種類は：25セント、10セント、5セント、1セントの計４種類）

入力画面の例

硬貨計算プログラム
金額（１ドル未満） = 94
25ｾﾝﾄ 3 枚
10ｾﾝﾄ 1 枚
5ｾﾝﾄ 1 枚
1ｾﾝﾄ 1 枚

注）青色部分が入力した値です。なお、0枚の硬貨は表示しないように。

課題２ 　入力された整数の正負を判断し、正のときは 1、0 のときは 0、負のときは -1を表示するプログラムを関数を使って作りなさい。

入力画面の例

整数の正負を判定するプログラム
整数：120
判定（正：1、0：0、負：-1）： 1

注）青色部分が入力した値です。

課題３ 　文字変換関数 toupper(文字) を使って、文字列の中の小文字を大文字に変換するプログラムを作りなさい。１文字ずつ小文字か判定し、大文字に変換して出力します。

ヒント　入力した文字列ファイルの終わりは EOF となるので、
　　　while ( 文字 != EOF )
を使います。

入力画面の例

小文字を大文字に変換するプログラム
変換したい文字列は：abcdefg
変換後の文字列は：ABCDEFG

注）青色部分が入力した値です。

課題４ 　システム関数を使ってMS-DOSコマンドを実行するプログラムを作りなさい。なお、コマンドは COPY ( UNIX の cp に該当する）を作る。

入力画面の例

%copy filename1 filename2

注）青色部分が入力したコマンドです。

おまけ　ゲーム「３目ならべ」であそぶ
３目ならべ　２人対戦型の３目ならべのゲームです。コンパイルして遊んでみてください。先手は○、必ず中央から始まります。後手は×、並べる位置は数字で入力します。

　おまけ　リダイレクトを使う「ソート」プログラム

ソート 　キーボード入力した数値データをソートするプログラムですが、前もって作成した数値データファイルをリダイレクトさせることでソートさせることが出来ます。同様にして、結果をファイルに出力することも可能で、使用法は、以下の様にします。

入力画面の例

%sort
14 42 85 26 35 12 95 ････････ 65 57
%sort < data
%sort < data > sort_data

注）sort　　　　　　　　　　　ソートの実行、 数値データをキーボード入力、「コントロール」+ 「d」にて終了。
　　sort < data　　　　　　　dataがソートしたいデータが入っているファイルです。
　　sort < data > sort_data　sort_dataがソートを行った後のデータが入るファイルです。

/* ソートプログラム */ /* 整数100データまで */ #include <stdio.h> #define MAX 100 main() { int i = 0, j, data_end, ex_data, data[100]; while (scanf("%d", &ex_data) != EOF) { if (i < MAX) { data[ i ] = ex_data; } i++; } if (i >= MAX) { printf("data overflow!¥n"); i = MAX; } data_end = i - 1; for (i = 0; i < data_end - 1; i++) { for (j = i + 1; j < data_end ; j++) { if (data[ i ] > data[ j ]) { ex_data = data[ i ]; data[ i ] = data[ j ]; data[ j ] = ex_data; } } } for (i = 0; i < data_end; i++) { printf("%d¥t", data[ i ]); } printf("¥n"); }

　おまけ　引数を渡して「テキストを出力」するプログラム

ヘッド出力 　テキストファイルの始めの数行を出力するプログラム。
出力行数は「-」を付けてオプション指定します。これを発展させて、最後の数行を出力するプログラム「tail」を作成してみませんか。

入力画面の例

%head -15 head.c

注）headが実行ファイル、 -15が出力行数、 head.cが出力させたいファイルです。

引数のある main関数の例

●　引数を表示するプログラム
/* CMD Int */
#include

main(int argc, char *argv[])
{
　int i = 1;

/* ポインタを使わずに表示する */
　while (i <= argc) {
　　printf("%2d:%s¥n", i, argv[i - 1]);
　　i++;
　 }

/* ポインタを使って表示する */
　i = 1;
　while (i <= argc) {
　　 printf("2d:%s¥n", i, *argv);
　　*argv++;
　　 i++;
　 }
}

●　プログラムの使い方
%cmd opt1 opt2 ･･･

注）cmdが実行ファイル、 cmd、 opt1、 opt2 ･･･が引数として main関数に渡され、
２回、opt1、opt2・・・が出力されます。

/* headプログラム */ #include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <string.h> main( int argc, char *argv[] ) { FILE *fin; /* ファイルポインタの宣言 */ char buf[256]; char filename[20]; int i, lines; if (argc != 3) { printf("usage: <opt> {filename}¥n"); exit(-1); } if (*argv[1] == '-') { lines = atof(argv[1]) * (-1); } else { printf("option error !¥n"); exit(-1); } strcpy(filename, argv[2] ); fin = fopen(filename, "r"); /* 入力用ファイルをオープン */ if (fin == NULL) { printf("%s not open !¥n", filename); exit(-1); } i = 1; while ( fgets(buf, 256, fin) != NULL ) { /* ファイルから読み込み */ printf("%s", buf ); /* それを表示する */ i++; if (i > lines) { break; } } fclose(fin); }

　おまけ　システム関数を使って MS-DOS をエミュレートする。

MS-DOSエミュレータ 　UNIX上でMS-DOSを疑似的に行うプログラムです。
MS-DOSコマンドの DEL(rm), DIR(ls), REN(mv), TYPE(cat), COPY(cp), DATE(date)が使えます。

プログラムが行う内容と、MS-DOSとUNIXのコマンドの違い

●　MS-DOS コマンド入力から、コマンドとそのオプションを分離し、 ap[0]、ap[1]、ap[2] に格納する。
printf(">");
gets( lp );
sscanf(lp, "%s %s %s", ap[0], ap[1], ap[2]);

●　MS-DOS コマンドを、UNIX コマンドに変更し、ap[0] に格納する。
if ( strcmp(ap[0], "type") == 0 || strcmp(ap[0], "TYPE") == 0 )
　strcpy(ap[0], "cat");

●　UNIX コマンドを System 関数を使って実行する。
sprintf( sp, "%s %s %s", ap[0], ap[1], ap[2] );
system( sp );

MS-DOS UNIX
●　ファイルの内容を出力する
TYPE filename cat filename
●　ファイルをコピーする
COPY filename1 filename2 cp filename1 filename2
●　フォルダまたはディレクトリの内容を表示する
DIR ls
●　ファイル名を変更する
REN filename1 filename2 mv filename1 filename2
●　ファイルを消去する
DEL filename rm filename
●　日付を表示する
DATE date
●　DOS を終了する
Q

/* mini D0S (3)*/ #include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <string.h> main() { static char cmdlin[150], syslin[150]; static char arg[4][50]; int prm_err; void cmd_in( char [], char [][50] ); int cmd_search( char [], char [][50] ); printf("Well Come to mini MS-DOS World !¥n"); cmd_in( cmdlin, arg ); while ( strcmp(arg[0], "q") != 0 ) { prm_err = cmd_search( syslin, arg ); if (prm_err == 0) { system( syslin ); } else { printf("¥nCommand not found !¥n"); } cmd_in( cmdlin, arg ); } printf("¥nmini MS-DOS Exit !¥n"); } void cmd_in( char lp[], char ap[][50] ) { int i; memset(lp, '¥0', 150); for (i = 0; i < 3; memset(ap[i++], '¥0', 50) ); printf(">"); gets( lp ); sscanf(lp, "%s %s %s", ap[0], ap[1], ap[2]); } int cmd_search( char sp[], char ap[][50] ) { int err = 0; if ( strcmp(ap[0], "type") == 0 || strcmp(ap[0], "TYPE") == 0 ) strcpy(ap[0], "cat"); else if ( strcmp(ap[0], "copy") == 0 || strcmp(ap[0], "COPY") == 0 ) strcpy(ap[0], "cp"); else if ( strcmp(ap[0], "dir") == 0 || strcmp(ap[0], "DIR") == 0 ) strcpy(ap[0], "ls"); else if ( strcmp(ap[0], "ren") == 0 || strcmp(ap[0], "REN") == 0 ) strcpy(ap[0], "mv"); else if ( strcmp(ap[0], "del") == 0 || strcmp(ap[0], "DEL") == 0 ) strcpy(ap[0], "rm"); else if ( strcmp(ap[0], "date") == 0 || strcmp(ap[0], "DATE") == 0 ) strcpy(ap[0], "date"); else { err = -1; return( -1 ); } if (err == 0) sprintf( sp, "%s %s %s", ap[0], ap[1], ap[2] ); return( err ); }

▲Ｃ言語目次へ戻る